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不登校の生徒は減少している、しかし問題は何も解決していない

知ったかぶりでは許されない「学校のリアル」 第5回

◆根本的な問題は未解決のまま

 不登校の生徒が通信制に転校する。それで不登校生徒の数は減っているが、通信制に籍を置く生徒は増えている、ということになっているのだ。通信制が不登校の「受け皿」になっているために、表面的な不登校の数は減っていることになる。
「不登校の子たちも、やはり高卒の学歴は必要だと考えているようです。実際、うちの学校の卒業生の場合、5割が専門学校に、2割が大学に進学しています。就職は2割くらいです」

 不登校とはいえ、ドロップアウトしているわけではないのだ。自分の将来を真剣に考えている。そして、次のステップに必要な高卒資格をとるために通信制を選んでいる。では、なぜ不登校になったのか。教頭が説明する。
「大半は、いじめです。いじめにあって人間関係が嫌になったというか、怖くなってしまい、学校に行けなくなるようです」

 通信制の場合、決まった時間に決まった場所に行く必要はない。教室に通うシステムをとっている学校もあり、通ってくる子も少なくないという。それも強制ではないし、教室に来る時間も個人の意思に任されていることが多い。同じメンバーが顔をあわせる機会が少ないわけで、いじめも起きにくい。教頭は続けた。
「それだけに、いじめられた経験からきているコミュニケーションへの不安を解消できないままの子が多いようです。当校では、いろいろな行事を企画してコミュニケーションの力をつけられるように工夫はしているのですが、なかなか、うまくいきません。そのためか、進学しても就職しても、途中で辞めてしまう子が多いのも事実です。通信制の、いちばんの課題かもしれません」

 不登校の子が通信制に転校しても、すべての問題が解決するわけではない。不登校の生徒数が上辺では減っていても、なにも問題は解決されていない。この事実は、もっと真剣に論議される必要がある。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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